花まつりとは?
気になる花祭りって何なのか、ということで調べてみました。
4月8日には仏教の開祖であるお釈迦様の誕生日に行われる花祭りというものがあります。
地方によっては旧暦の4月8日から5月5日の場合もあるようです
お釈迦様の誕生日と言いますが、いつお生まれになったかと言いますと、一般には今から2500年ほど前に誕生されたとされています。
インドのヒマラヤの麓の、現在ではネパール南部の盆地のところにカピラ城というお城があって、そこの王子としてルンビーニというところで生まれました。
小さい頃の名前をシッダルータといい、王子として裕福な家庭に生まれましたけれども29歳の時に、その王子の位を捨てて家を出ます。
家を出るからこれを出家と言います。
今でも家を出て僧侶になることを出家と言います。
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お釈迦様はなぜ出家したか?
言い伝えによれば、王子の若かりし時のある日、大きな蛇がカエルを飲み込んでいる姿をみかけました。
またある時は、自分も動物を殺して食べるし、動物が他の動物を殺して食べるという光景をもみました。
こうしなければ人や動物は生きていけないことに、ナイーブな若い王子は深く悩むようになります。
ある時、またもや老人がとぼとぼと杖をつき、 息くるしそうに歩いている姿に出会いました。
お供の者に、あれはどんな動物なのか、とお釈迦様はお聞きになりました。
お供の者は、いえいえ人は誰でも年を重ねるとあのようになるんですよ、老いるということですと答えました。
ここでもお釈迦様はとても暗い気持ちになりました。
またある時、病弱で今にも死にそうなおばあさんが運ばれていく姿を見ました。
これもお供のものに尋ねると、あのおばさんは病気なんです。
人は生きていればいつか病気になるのが普通です。肉体は衰え、いろんなばい菌にも感染して病気になります。
ここでもお釈迦様は暗澹(あんたん)たる、いやな気持ちになりました。
それから人が死んで焼かれるお葬式の場面にも出会いました。
どうしてあんなことをしているのかとお釈迦様は尋ねると、やはりお共は、人は死ぬと火葬にしてお墓に入れてお弔(とむら)いをします。
生まれたものは、必ず死ぬ宿命にあります、と。
私の父も母も死ぬのか、とお尋ねになると、残念ながらその通りでございます、とお供の者はお答えになって、これを聞いたお釈迦様はまたまた暗い暗い気持ちにふさぎこみます。
この四つの苦しみ、生きるという苦しみ、老いるという苦しみ、病む苦しみ、死ぬという苦しいが、生きとし生ける生物すべての宿命であることを深く考える時、今のままでは心が落ち着くことはないと悟り、この苦しみを解決する道はないのか、そういう思いが募りに募って、ついには王子の位を捨てて出家し”生死を超える道”を求めて修行者を尋ね歩く旅が始まります。
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苦行は悟りの種にあらずの悟り
それから、色々な先生を訪ねて難行苦行を重ねながら、骨川筋衛門(ほねかわすじえもん)になって、息が途絶えるほどに衰弱しながらも悟りを求めていったのです。
そして、やがて”苦行は悟りの種(たね)にあらず”の悟りに至り山を下ります。
そしてある時、山から降りて休んでいると一人の乙女がヤギの乳(ちち)をささげてくれるその乳を飲んで心が安堵した瞬間、ある深い悟りの一歩を踏み出した、と言われています。
苦行する仏陀
その時の悟りが何であったかはよく分かりませんが、とにかくお釈迦様はついに自らの中にすべてがあること、だからおのれ中を深く深く掘り下げていった結果、ある大きな悟りに到達されたといわれています。
”自分のみを頼りとして犀の角(つの)のように真っ直ぐなその道をゆきなさい”、これを自灯明(じとうにょう)の真理と言います。
自灯明の真理とは、かつてのギリシャの聖人、ソクラテスが言った「汝自身を知れ」と言う至上の真理にも通じる深い真理です。
そのさまざまの素晴らしい教えは般若心経(はんにゃしんぎょう)や法華経(ほけきょう)、華厳経(けごんきょう)などに見事に展開されています。
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天上天下 唯我独尊とは?
これはお釈迦様が生まれて7歩歩んで言われたというんですけれども、そんなことはあり得ないとは思いますが、有名な”天上天下 唯我独尊(てんじょうてんがゆいがどくそん)という教えがあります。
それは何かと言いますと、”天上天下には私という存在は一人しかない独自の生命体であるからこれ以上尊いものはない”という意味だと思いますが、これは誰に対しても言えることです。
あなたも私も世界にただ一人しか存在しない尊い存在であるという意味で、これも素晴らしい教えの一つだと思います。
まあ、それはともかく、このお釈迦様の誕生を祝う”花まつり”は日本ではいつ頃始まったのかと言いますと、606年頃の推古天皇の時代に奈良の元興時寺(がんこうじ)で行われたのがその始まりだと言われています。
この4月8日というのが、ちょうど桜の開花の季節と重なることで、”花祭り”という名称が広く一般に普及することになりました。
では花祭りでは具体的にどういうことをするのかというと、お釈迦様の誕生日を祝うわけですから、まず花御堂(はなみどう)というものが作られ、その中に小さなブッダの生まれた姿が安置されます。
参拝者は竹で作ったひしゃくで、お釈迦様の誕生仏に甘茶をかけてお祝いするのです。
なんで花御堂なのかと言うと、それはお釈迦様が生まれたルンビニの花園を表していて桜をはじめいろんな花で飾るのでそんな名前があるというわけです。
小さなお釈迦様の誕生した姿が天地を指差して、生後すぐに7歩歩いて天上天下唯我独尊と言われたという伝説に基づいているようですが、無論、いくら大天才でもそんなことはありえませんね。
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灌頂会(かんじょうえ)とは?
このように頭の上から水を注ぐので灌頂会(かんじょうえ)とも言います。
お釈迦様の仏像に柄杓で「甘茶」を注ぎかけて拝みます。
この儀式はお釈迦様が生まれたときに、天に9匹の龍が現れて芳しい甘露の雨を降り注いで産湯を満たした
灌仏会(かんぶつえ)
という伝説を模したものです。
飛鳥時代に日本に伝わり、現在に至るまで多くの仏教寺院で催されている行事です。
もともとはお釈迦様の仏像には香油を注ぎかけていたものが、江戸時代から甘茶が使われるようになったようです。
そもそも甘茶とは、アマチャまたはアマチャズルの葉を乾燥させて煎じた飲み物で、4月8日の灌仏会に、甘露になぞらえて釈迦像の頭に注ぎ、また飲む風習からきています。
花見の季節に、花まつりをしているお寺に参拝するのもいいですよね。